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■家紋を調べるには■

作成者:戸田市立図書館/作成日:平成23年3月3日/修正日:平成24年1月10日
日本には、家を識別するための紋章「家紋」があります。貴族階級でのみ紋章を用いる西欧諸国と異なり、身分に関係ありません。家紋は、美しい造形だけでなく、家のルーツを探る手段になることもあります。家紋の由来や、武将の家紋に興味はありませんか。是非この機会に家紋について調べてみましょう。
目次
家紋とは
家紋の名称を調べるには
1.姓(名字)がわかる場合
2.家紋の形がわかる場合
家紋を構成する固有名詞から家紋分類から
家紋の由来を調べるには
武家の家紋を調べるには
公家の家紋を調べるには
例えば相馬氏の家紋を調べてみると?

<図書館の資料で調べる方法>

戸田市立図書館で所蔵する資料を使う。
  《家紋を調べるときに参考となる分類記号》
   
031 百科事典 210 日本史 288.6 紋章・家紋
288.9 旗:国旗、徽章 727 グラフィック 739.9 印章
※図書館の資料には、テーマを表わす分類記号がつけられ、この分類記号順に配架されます。
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家紋とは

家紋は、「個人・一家あるいは族党などを識別、表徴する標識」※1とされ、その種類は8,000以上※2とも2万余※3ともされます。その起源は11世紀前半、公家の衣服・輿車(こしぐるま)などに自分好みの文様を用いたのがはじまりといわれています。明治維新以降、法律で国民すべてが苗字(名字)を得たことにより普及した家紋ですが、現在では和装も廃れ、家紋を目にする機会も少なくなりました。
公家紋(くげもん)
起源 11世紀前半(平安時代)。衣服や車の文様、記念的な意義に基づいて定めたものが、その家の紋として定着した。
特徴 はじめは連続・複雑・繊細な文様。装飾的。後に武家の家紋の影響を受け、家紋として簡略化される。
その他 使用を制限される家紋(菊・桐)あり。
武家紋(ぶけもん)
起源 12世紀前半(鎌倉時代初期)。敵・味方の識別を目的とした旗指物(はたさしもの)のしるしが家紋となった。神仏の名号・依代(よりしろ)の図案や、衣服の文様の転用もあった。
特徴 見分けやすい。簡単な図形。戦闘集団の離合により種類増加。色の種類が少ない。
その他 賜姓(しせい)・婚姻などにより1家に2個以上の家紋ができた。用途によって複数の家紋が存在する(正紋・別紋・裏紋・女紋・替紋など)。/使用を制限される家紋(葵)あり。
※1…『国史大辞典』(吉川弘文館、1992)第13巻p.893「紋章」
※2…『日本家紋大鑑』(新人物往来社、1979)p.12「望郷的遺産としての家紋」
※3…『索引で自由に探せる家紋大図鑑』(新人物往来社、1999)p.2

『日本紋章学』(新人物往来社、1972)p.21・27、『家紋大図鑑』(秋田書店、1982)p.14-16・30、『古事類苑』(吉川弘文館、1980)姓名部p.501参照。
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家紋の名称を調べるには

「姓はわかる」「家紋の図柄はわかる」「藤紋の一種らしい」のように、何か取っ掛かりがあるのに、形がわからなっかたり、正しい名称がわからないということはありませんか?そんなときは下記資料が参考になります。
1.姓(名字)がわかる場合
 
丹羽基二『姓氏・地名・家紋総合事典』(新人物往来社、1988)/R288.1-ニ
p.405〜527「第三部 家紋・姓氏事典」に家紋を収録。家紋の名称がわからない場合は、p.528〜546「姓氏から家紋を知る索引」(1文字目の画数順)を使って名字を探し、該当する家紋を確認します。※読み方がわからなくても使えます。
 
『索引で自由に探せる家紋大図鑑』(新人物往来社、1999)/288.6-サ
p.6〜116にある4つの索引「名称で探す」「代表姓氏で探す」「代表文様で探す」「家紋分類で探す」の中から、「代表姓氏で探す」を選択します。五十音順。数字は家紋図版番号。「代表姓氏」とは第ニ部「家紋の分類と歴史」に登場する姓氏を指します。収録家紋数は4,462個。
 
沼田頼輔『日本紋章学』(新人物往来社、1972)/R288.6-ニ
これは、大正15年に刊行された『日本紋章学』を、新人物往来社が遺族の許可を得て現代文に改めたものです。p.259〜1358「各論」で、分類ごとに、家紋の名称・意義・歴史・形状種類・姓氏関係を調べられます。他に比べ、図よりも文章が多くなっています。姓から調べるときは、巻末の総索引を使います。
『新訂寛政重修諸家譜(かんせいちょうしゅうしょかふ)』(続群書類従完成会、1980〜1981)本編全22巻、索引全4巻、別巻1(八木書店、2010)/R288.2-カ-1〜26、別1
1812年(文化9)に完成した江戸幕府最大の大名・旗本系譜集。索引一には「(1)氏姓(家名)索引」と「(2)諱(いみな)索引」(タ行まで)があります。氏名どちらがわかるかで索引を使い分けます。氏姓の読みがわからない場合には、p.17〜18「(1)氏姓(家名)索引」画引索引を使います。
※『新訂寛政重修諸家譜』のくわしい内容については、調べ方案内「寛政重修諸家譜の使い方」をご覧ください。
<注意!>
「家紋事典」や「家譜」に出てくる姓氏は古くから存在する代表的なものです。全ての苗字を網羅しているわけではないため、同じ苗字でも、いざ調べてみると「これは我が家の家紋と違う」ということもありえます。逆に、家紋から苗字を探そうとしても見つからなかったりということも。
<それならどうする?>
先祖代々のお墓を確認したり、祖父母の着物(紋付)をタンスから引っ張り出すことから始めてみましょう。それでもわからないときは、わかる範囲で祖先の出身地を探し、現地調査することになりますが、なかなかどうして、先祖探しはむずかしいということを覚えておきましょう。
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2.家紋の形がわかる場合
植物やなど家紋の見た目からわかる情報をもとに調べるには、家紋の名前の一部(家紋を構成する固有名詞)から調べられる資料を使うか、家紋分類を載せた資料を使いましょう。
●家紋を構成する固有名詞から
こんな場合に使えます
1.家紋の正式名称を知っている。
2.家紋の正式名称はわからないが、家紋に用いられた固有名詞がわかる。
3.家紋の形から、家紋に用いられた固有名詞をある程度特定できる。
固有名詞とは?
「藤」や「鷹の羽(たかのは)」、「稲妻」、「木瓜もっこう)」など、家紋に使われる図柄のことです。
正式名称の場合は名前の一部を指します。例えば、「五三の桐」ならば「桐」となります。
 
丹羽基ニ『家紋大図鑑』(秋田書店、1982)/R288.6-ニ
7,500余種の家紋を収録。「家紋大鑑・目次」は、家紋に使われている固有名詞の50音順。本文はその形を含む家紋でまとまっています。家紋の形のほかに、家紋の由来、使用姓氏がわかります。
 
『日本家紋大鑑』(新人物往来社、1979)/R288.6-ニ
「紋章と解説」で、家紋に使われている固有名詞を引き、本文に当たります(50音順)。本文前半に「日本家紋総説」、後半p.98〜408に「紋章と解説」があり、家紋の形、家紋の由来、使用姓氏を調べられます。
 
『日本の家紋七〇〇〇』(新人物往来社、2009)/R288.6-ニ
巻頭目次で、家紋に使われている固有名詞を引き、本文に当たります(50音順)。家紋の由来と家紋の形を調べられます。
●家紋分類から
こんな場合に使えます
1.家紋の形がわかる。または家紋の形しかわからない。
2.家紋の形から、図柄の名前や分類を想像できる。※たとえば、円の中に植物の一部が含まれているなど。
家紋分類とは?
家紋を形ごとに分類したもので、形や名前から探すことができるのが特徴です。なお、分類の名称はそれぞれ異なります(下記<家紋分類>参照)。
 
『国史大辞典』第13巻(吉川弘文館、1992)/R210.0-コ-13
p.893〜902「紋章」中、p.895〜901が家紋の図版です。分類ごとに主だった家紋を紹介。家紋の形・名称・使用姓氏を確認できます。
 
『索引で自由に探せる家紋大図鑑』(新人物往来社、1999)/288.6-サ
p.6〜116にある4つの索引「名称で探す」「代表姓氏で探す」「代表文様で探す」「家紋分類で探す」の中から、「代表文様で探す」「家紋分類で探す」を選択します。収録家紋数は4,462個。
 
沼田頼輔『日本紋章学』(新人物往来社、1972)/R288.6-ニ
これは、大正15年に刊行された『日本紋章学』を、新人物往来社が遺族の許可を得て現代文に改めたものです。p.259〜1358「各論」で、分類ごとに、家紋の名称・意義・歴史・形状種類・姓氏関係を調べられます。他に比べ、図よりも文章が多くなっています。種類から探すときは目次を使います。
 
ジョン・ダワー『紋章の再発見』(淡交社、1980)/288.6-ダ
p.47〜163「第二部:紋章の分類と解説」で、6つの分類に2715個の家紋を掲載していますが、説明は少ないです。p.165〜179「河本清オリジナル紋デザイン名称一覧」中の番号は紋章図版の番号です。
<家紋分類>
古事類苑 日本紋章学 国史大辞典 索引で自由に探せる家紋図鑑 紋章の再発見
文字
動物
植物
器物
雑形
天文門および地文門
植物門
動物門
器財門
営造物門
文様門
文字門
図符門
植物紋
動物紋
天文・地理紋
文様紋
文字紋
図符紋
器具紋
建造物紋
天文・地文
植物
動物
建造物
器財
文様
文字・図符号
天と地
草と花と木
鳥と獣と虫
器物と用具
図形と模様
しるしと文字
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家紋の由来を調べるには

例えば、北条氏が使っていた家紋の中に、三角形3つでひとつの三角形を作る「三つ鱗(みつうろこ)」がありますが、なぜ三角形を鱗(うろこ)というのか気になるところ。家紋の由来を調べるときは下記資料をご覧ください。
 
丹羽基ニ『家紋大図鑑』(秋田書店、1982)/R288.6-ニ
7,500余種の家紋を収録。「家紋大鑑・目次」は、家紋に使われている固有名詞の50音順。本文はその形を含む家紋ごとにまとまっています。ちなみに、正式名称が「五三の桐」なら「桐」が相当します。家紋の形のほかに、家紋の由来、使用姓氏がわかります。
 
丹羽基二『姓氏・地名・家紋総合事典』(新人物往来社、1988)/R288.1-ニ
p.405〜527「第三部 家紋・姓氏事典」に家紋を収録。紋名の50音順。紋名に続き、由来、使用姓氏が書かれています。
 
『日本家紋大鑑』(新人物往来社、1979)/R288.6-ニ
「紋章と解説」で、家紋に使われている固有名詞を引き、本文に当たります(50音順)。本文前半に「日本家紋総説」、後半p.98〜408に「紋章と解説」があり、家紋の形、家紋の意味、由来、使用姓氏を調べられます。
 
沼田頼輔『日本紋章学』(新人物往来社、1972)/R288.6-ニ
これは、大正15年に刊行された『日本紋章学』を、新人物往来社が遺族の許可を得て現代文に改めたものです。p.259〜1358「各論」で、分類ごとに、家紋の名称・意義・歴史・形状種類・姓氏を調べられます。他に比べ、図よりも文章が多くなっています。紋章名や固有名詞から調べるときは巻末の総索引を使います。
例えば三つ鱗紋について調べてみると…
書名 ページ どうして三角形を鱗紋というの?
日本家紋大鑑 p.131 幾何学模様であることから織物から採ったのかという説もあるが、モザイクの一部かもしれない。
家紋大図鑑 p.116〜117 古くから単なる三角模様として用いられた。原始的な幾何学模様。出来上がった形がサカナのウロコを連想させたからこの名称が起こった。使用個数は1〜9個。
日本紋章学 p.1230〜1231 魚の鱗の形に似ているところから名づけたもので、もと文様として行なわれたものである。紋章は、この文様から転化したもののようだ。一鱗ないし九鱗、一辺共用して三鱗紋を形成しているものもある。

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武家の家紋を調べるには

特定の武将の家紋を調べたいとき、皆さんはどうしますか?江戸時代には「武鑑」と呼ばれる武士の名鑑があり、これを読むことで、庶民は大名の情報を知ることができたといわれています。今我々が調べるにも、「武鑑」や「系図」などは有効です。
 
井上隆明(編)『江戸諸藩要覧』(東洋書院、1983)/R210.5-イ
各藩の情報を調べられます。4項目に家紋の図と名称が載っています。巻末に「藩名索引」と「家名索引」あり。系譜類の参考資料は『寛政重修諸家譜』と各地郷土史類、一部『藩史事典』(秋田書店)など。
 
『藩史大事典』全8巻(雄山閣出版、1988〜1990)/R210.5-ハ-1〜8
慶長3年〜明治4年まで274年間を対象とした藩史事典です。日本を6つのブロックに分け、その中は国別、一国内は北南東西の順に並んでいます。家紋は図と名称を載せています。第8巻は「資料・文献綜覧・索引」です。家紋は原則として「文化武鑑」「文政武鑑」「大武鑑」によります。
『大武鑑』(名著刊行会、1965)全3巻索引付/R281.0-ダ-1〜3
上巻は鎌倉・足利・応仁・織田・豊臣武鑑(後世の編纂物)と、天正18年〜享保17年の武鑑、中巻は元文6年〜慶応3年の武鑑、下巻は明治元〜2年の武鑑と、「公武有司集覧(こうぶゆうししゅうらん)」(明治2年)を収録しています。巻末に索引あり(氏名の50音順。ページ数は3巻通してのもの)。天正18年以降の武鑑については、著者が所蔵する武鑑を整理・統一したもの。年鑑ではありません。家紋は図のみ。
『文化武鑑』(柏書房、1981〜1982)全7巻/R281.0-ブ-1〜7
江戸時代に刊行された須原屋版「武鑑」の内、文化年度に発行さたものを活字翻刻したものです。年鑑。奇数巻「大名編」と、偶数巻「役職編」で構成。各巻に「大名家名目次」(掲載順)と「人名検索目次」(50音順)あり。家紋は正紋・替紋を載せていますが、図のみです。
※『江戸幕府諸藩人名綜覧』上・下巻(柏書房、1983・1985)は『文化武鑑』の索引です。「漢字音目次」「文化武鑑索引」「官職名・受領名索引」「主要音訓索引」があります。
※同じシリーズに『文政武鑑』全5巻(柏書房、1982〜1992)があります。
工藤寛正(編)『江戸時代全大名家事典』(東京堂出版、2008)/R281.0-ク
江戸大名434家全藩主を網羅。藩名、姓氏、家紋のほか、生没年、領地、官職、事績、系図などを調べられます。目次は姓氏の50音順。
 
加藤鐡雄『戦国武将「旗指物」大鑑』(彩流社、2010)/R288.9-カ
1467年から1650年ごろまでの旗指物(はたさしもの)を対象としています(カラー図版)。戦国武将名(212名)の50音順。旗指物のほかに、戦国武将の生没年、家紋、経歴、家系図などが載っています。
 
沼田頼輔『日本紋章学』(新人物往来社、1972)/R288.6-ニ
p.259〜1358「各論」で、分類ごとに、家紋の名称・意義・歴史・形状種類・姓氏関係を調べられます。他に比べ、図よりも文章が多くなっています。姓から調べるときは、巻末の総索引を使います。
 
『寛政重修諸家譜』(続群書類従完成会、1980〜1981)本編全22巻、索引全4巻、別巻1(八木書店、2010)/R288.2-カ-1〜26、別1
1812年(文化9)に完成した江戸幕府最大の大名・旗本系譜集です。索引一は「(1)氏姓(家名)索引」と「(2)諱索引(一)」、索引二は「(2)諱索引(二)」「称呼索引(一)」、索引三は「称呼索引(二)」、索引四は「称呼索引(三)」、別巻は「葬地・寺社名索引」となっています。目的に合わせて索引を使い分けましょう。家紋は名称のみ。
※『新訂寛政重修諸家譜』のくわしい内容・引き方については、調べ方案内「寛政重修諸家譜の使い方」をご覧ください。
 
「見聞諸家紋」(『群書類従』第23輯p.409〜476所収:続群書類従完成会、1980)/R081-グ-23
「見聞諸家紋」は室町時代に成立した紋章について書かれた史料です。将軍家をはじめとする武家の家紋約260個を次第不同に集録しています。将軍家(足利氏)と傍系以外は説明も少ないのですが、家紋の図と使用姓氏、場合によって紋章名を掲載しています。検索には不向きですが、武家の家紋研究上、貴重な史料です。
〜こんな資料も使えます〜
『群書類従(ぐんしょるいじゅう)』(正・続)第5輯(しゅう)〜7輯には系図類が収録されていますが、武家や公家の一部で家紋名や図、由来などを載せていることがあります。特定の姓氏がある場合は系図類を調べてみましょう。『国書総目録』で所収全集名・巻数を、『群書類従』(正・続)にある場合は「正続分類総目録・文献年表」(『群書類従』第30輯)で輯とページを検索できます。
※収録全集名の調べ方については、「古い時代の史料を探すには−所収全集・叢書名を調べるには」でも紹介しています。是非ご覧ください。

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公家の家紋を調べるには

乃木希典(のぎまれすけ)が学習院長を務めていた頃、全生徒に各自の家紋を画いて提出させた(228個)という逸話があります※1※2。また、幕末に出された名鑑の一つ『雲上名覧大全(うんじょうめいらんたいぜん):年々改正』※3にも皇族・公家の家紋・合印図が掲載されていますが、どちらも活字翻刻されていないため、なかなかお目にかかれません。ではどんな資料を見れば公家の家紋を調べられるのでしょうか。
※1…沼田頼輔『日本紋章学』p.6・『家紋大図鑑』p.677によると「学習院学生家紋集」という。
※2…『角川日本史辞典』(角川書店、1996)p.195…明治時代の学習院は、宮内省管轄の官立学校として、皇族・華族の教育にあたっていました。
※3…国立国会図書館の近代デジタルライブラリー(http://kindai.ndl.go.jp/index.html)で、慶応4年版の本文をご覧いただけます。
人名索引があるもの
沼田頼輔『日本紋章学』(新人物往来社、1972)/R288.6-ニ
p.259〜1358「各論」で、分類ごとに、家紋の名称・意義・歴史・形状種類・姓氏関係を調べられます。他に比べ、図よりも文章が多くなっています。姓から調べるときは、巻末の総索引を使います。
 
『日本諸家系図人名辞典』(講談社、2003)/R288.2-ニ
目次、本文とも、天皇家と豪族・公家・武家に分かれています。武家は「氏」、公家は「家」で区別できます。巻末p.730〜739に「人名索引」あり。本文には、家名・姓氏の横に家紋図と名称が載っています。ただし、公家の家紋全部を調べられるわけではありません。
 
丹羽基二『姓氏・地名・家紋総合事典』(新人物往来社、1988)/R288.1-ニ
p.405〜527「第三部 家紋・姓氏事典」に家紋を収録。紋名の50音順。紋名に続き、由来、使用姓氏が書かれています。p.528〜546「姓氏から家紋を知る索引」(1文字目の画数順)を使って公家の家名(例:九条)を探し、該当する家紋を確認します。本文・索引ともに、氏はわかるが、公家・武家の判別不能。
地図から
 
『公家辞典』(吉川弘文館、2010)/R281.0-ク
p.1050〜1051「文久改正内裏御絵図」より、幕末期、内裏を中心とした邸宅配置と、家名・家紋図・石高がわかります。南北は丸太町から今出川、東西は寺町から烏丸まで。絵図のため、見にくいこともあります。本文中には家紋の記載なし。

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〜例えば相馬氏の家紋を調べてみると?〜
A.姓の読みがわからない場合
『姓氏・地名・家紋総合事典』を使った調べ方
(1)『姓氏・地名・家紋総合事典』を用意します。
(2)「相馬」の一字目「相」の画数は9画
(3)。『姓氏・地名・家紋総合事典』p.528〜546「姓氏から家紋を知る索引」で〔九画〕を開き、「相馬」を探します。⇒p.540「相馬」
(4)p.540「相馬」の家紋候補が載っているページを開きます。⇒419・481・484・503・526
(5)下の4種類が、<平氏>相馬の家紋として紹介されています。
ページ 家紋名 その他
p.410 馬紋 p.419は誤記
p.481 茶の実紋
p.484 九曜紋 月星紋の一種
p.503 菱紋
『江戸幕府諸藩人名総鑑(文化武鑑索引)』を使った調べ方
(1)相馬の一字目「相」の音訓を抜き出します。⇒音は「ショウ」、訓は「あい」。
(2)『江戸幕府諸藩人名総鑑(文化武鑑索引)』上p.11〜「主要音訓索引」で、音か訓で「相」を引きます。⇒「相→ソウ
(3)F〜「漢字音目次」「ソ」の項目で「ソウ」を引き、該当ページを調べます。⇒p.172
(4)p.172「相」の中から「相馬」の人名とページ数を抜き出します。⇒10名。相馬は「彦根」・「中村」・「喜連川」の3つに分けられます。一例を挙げると…
人名 藩名 巻数・ページ
相馬右平次 彦根 @26・133・243
相馬益胤 中村 D290・400、F74・295
相馬玄蕃 喜連川 @55・161・272・382…
(5)各人該当ページを開くと、「彦根」と「喜連川」の相馬氏は家臣、中村は藩主でした。この内、家紋があるのは藩主のみです。
B.姓の読みがわかる場合
『索引で自由に探せる家紋大図鑑』を使った調べ方
(1)『索引で自由に探せる家紋大図鑑』p.24〜29「代表姓氏で探す」を開き、「相馬(そうま)」を探します。⇒p.26下段「さ行」に「相馬」あり。
(2)p.26によると、相馬氏の使用した家紋が「馬紋(2161〜2164)」とわかります。※カッコ内の数字は家紋図版番号。
『日本紋章学』を使った調べ方
(1)「総索引」で相馬を探します。→p.1377「さ」の項目※古い資料のため読みは「さうま」。
(2)相馬の関連ページを調べます。→p.109・124・131・275・281・682・706・707・1141
(3)関連ページに載っている家紋を抜き出します。⇒
ページ 家紋名 その他
p.109 馬紋 相馬氏の代表家紋
p.124 星辰系統の家紋 下総:千葉氏・相馬氏
p.131 九曜覊馬(つなぎこま) 桓武平氏・磐城相馬居住
p.275 月星もしくは九曜 千葉常胤(ちばつねたね)の子孫の大半が土着してこれらの家紋を使用
p.281 九曜紋 岩城:相馬氏
p.682 三茶実 平氏良将流相馬氏
p.706 覊馬(つなぎうま)の紋
p.707 馬紋
p.1141 桔梗に花菱 相馬:平氏良将流
(4)重複しているものを除くと、「覊馬の紋(馬紋の一種)」、「九曜紋」、「三茶実紋(茶実紋の一種)」、「桔梗に花菱(菱紋の一種)」となります。
※p.706「馬紋」の意義によると、相馬氏の覊馬の紋は、相馬の名字に関連した紋章で、相馬氏の領地である中村地方が馬の名産地であることも影響しているようです。また、著者は、相馬氏の替紋が九曜紋(妙見信仰関連)であるとしています。
C.どちらも対応可能(ただし時代・身分限定)
『新訂寛政重修諸家譜』を使った調べ方
(1)『新訂寛政重修諸家譜』索引一p.1〜16「姓氏(家名)索引」で「相馬(ソウマ)」を探します。⇒p.8
現在の状態 索引一のここを見る その他
読み判明 「氏姓(家名)索引」 五十音順。同じ姓は氏で区別。
読み不明 「氏姓(家名)索引」画引索引 1文字目の画数順。索引該当ページへ。
(2)「相馬」の載っている巻数とページを調べます。⇒第9p.1、9
(3)『新訂寛政重修諸家譜』第9p.1とp.9を開き、相馬家の家紋を調べます。⇒下表参照
家紋 その他
9 1 平氏(良将流) 相馬 九曜・亀甲に花菱・繋駒 祥胤(よしたね)の家は千葉の血統をかける。
9 9 平氏(良将流) 相馬 継馬・丸に三茶実 是胤(これたね)の家は相馬の血統をかける。
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